中国の不動産バブル崩壊!(6)残された解決策は政府による救済のみに

中国の不動産問題がいよいよ岐路を迎えている。中央政府のやりかた次第では、中国経済をさらに落ち込ませ、習近平体制を揺るがすまでに至る危険が出てきた。いまのところ、中国政府は「先送り」の政策に終始しているようだが、残された道は大規模な救済策しか残されていない。

このところ欧米の経済紙では、中国の不動産問題についての報道が続いていたが、これは8月のデータが明らかになって、悲惨な状態が明らかになったからだ。たとえば、ウォールストリート紙9月16日付は「中国の住宅市場はいまも延命装置つき」は「中国の住宅価格は8月も下落している。北京政府が16日に発表したデータでは、同月の新築住宅価格は前月比で0.3%下落、前年同月比になると2.1%の下落を示している」と述べている。

また、ロイターは「中国の不動産は8月にも価格、販売、投資ともに下落して窮状を深めている」を配信して、次の3点を強調している。第一に、新築住宅の価格が2021年11月以降の前月比でもっとも急激な下落を示した。第二に、新築住宅の価格が2015年以来の前年同期比でもっとも急激な下落を示した。第三に、不動産販売が13カ月連続して下落している。(グラフはwsj.comより:新築住宅の価格下落は、まったくとまっていない。2017年と比べると10%~20%もの下落である)

さらに、北京政府の正式発表前、英経済誌ジ・エコノミスト9月15日号は「中国の不動産危機は終わっていない:それどころがさらに悪化している」との社説を掲載している。同誌はあらためて、中国においては家計資産の3分の2以上が不動産であり、GDPの5分の1が不動産業によって占められてきたことを指摘している。まさに、「中国において不動産は同国の繁栄の象徴」だったわけである。(以下のグラフおよびグラフはThe Economistより)

同誌はさらに、恒大集団の不良債権問題やデフォルト問題から顕在化した中国の不動産危機は、いまや経済問題にとどまらず、大きな政治問題となっていると指摘。その背景として、第一に、習近平が強行した「ゼロコロナ政策」が国民に対する政府の信頼性を損なっていること。第二に、経済成長と金融政策との間の齟齬、国民の需要と役所やデベロッパー縁故主義に起こる摩擦を、政府は解消することができなかったと指摘している。

ジ・エコノミストは9月12日号にも「中国のポンジー的不動産市場は国家にたいする信頼を損なわせる」と題する不動産問題のリポートを掲載している。この「ポンジー的」というのは、戦前のアメリカでポンジーというペテン師が仕掛けた投資詐欺のやり方で、お得な投資先があると煽って金を集め、最初のころはちゃんと利子を払って安心させ、途中からその利子も投資させて、かなりの金額に達したところで逃亡してしまうという詐欺である。

中国の不動産市場がポンジー的になってしまったのは、もちろんポンジーのようなペテン師もいたかもしれないが、多くの場合は不動産投資の利回りがよかったので、素人を含めて不動産を購入することに懸命になり、しかも、そうした投資を政府が奨励しているという構図が、ポンジー的だというわけである。かなりの不動産を手にしたところで、政府の政策が激変したため、不動産の価値が下落してしまい、利子が払えなくなるといった事態に陥ったわけで、不動産業者だけでなく政府にも騙されたと感じるのは無理ないわけである。

中国政府はまだ、金利を下げるとか、地方政府に規制緩和させるとかの対応しかしていない。しかし、いまの段階にあっては、焦げ付いた住宅ローンや不動産業者が発行していた債券を、政府が買い上げてしまうしか、解決の方法はないというのが、ほとんどの経済ジャーナリズムの指摘である。ジ・エコノミスト社説は「不動産業を救済するしか選択肢はほとんどない」と述べているが、これはかなり「業界寄り」というべきで、もはや金利が払えなくなった一般の不動産(建設途中のものを含めて)の所有者も対象にして、救済せざるをえないだろう。

これには前例がいくつもある。アメリカの2008年金融危機を引き起こしたサブプライム問題の解決のためには、中央銀行であるFRBが住宅ローン担保証券を急速に買い上げていくという方法を採用した。その前の1990年のバブル崩壊で生じた不良債権の処理では、日本政府はアメリカを中心とするハゲタカファンドたちに、日本の不良債権あるいは不動産そのものを、好き勝手に買いたたかせるという奇妙で馬鹿なことをした。

中国政府がどのような方法でいまの不動産危機を乗り切るのか、いまのところ明確ではない。それはおそらく、この10月に習近平が3回目の中国共産党総書記に就任してから明らかにされるのだろう。少なくともこのまま放置するということはありえない。そしてまた、日本の不良債権処理をまねることは、まずないと思われるが、まだ分からない。

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