黒木華と岸井ゆきの――大女優への道;内海陽子が論じるヨコハマ映画祭主演女優賞の2人

第45回ヨコハマ映画祭は2月4日に開催されました。今回も映画ファンが注目したトピックは多くありましたが、特に話題となったのは主演女優賞が黒木華さんと岸井ゆきのさんの2人に贈られたことです。2人の力量は定評のあるところですが、観客に与える印象は対照的です。2人の女優の実力の秘密とこれからの可能性について、映画評論家で同映画祭選考委員の内海陽子さんにじっくり語っていただきました。(構成サンイースト企画)

――― 今回のヨコハマ映画祭は、主演女優賞が2人でしたが、これは特別な意味があったんでしょうか。

もちろん映画祭では、選考委員の投票のさいに同点となることもあるので、かならずしも異変というわけではないんです。わたしは作品では『せかいのおきく』を支持したので、黒木華さんが主演女優賞を受賞されたのはふさわしいと思いました。いっぽう、岸井ゆきのさんが『ケイコ目を澄ませて』で受賞されたのは、女優としての力量からはまったく問題ないのですが、作品のほうはそれほど買っていませんでしたので、ちょっと残念でした。

――― 『ケイコ』のほうは岸井さんがご自分でも触れておられたように、公開から1年以上たっていたということもありましたね。

岸井さんの場合、他にもいい作品がありますからね。たとえば、この「コモドンの空飛ぶ書斎」で最初に書いた映画評が『愛がなんだ』だったわけです。いまも岸井さんが登場する作品にはドキドキしながら接して、ますます岸井さんへの評価を高めているので、受賞作品も別のものであってほしかった。

――― お二人について、女優としての評価をうかがいたいのですが、まず、黒木華さんからお願いします。これまでも黒木さんが登場する作品は『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『イチケイのカラス』そして『せかいのおきく』と、本サイトで内海さんに何度も取り上げていただいています。

これらの作品でいうと、私は『先生、私の隣に座っていただけませんか?』がいちばんよかったと思います。彼女の持っている底深さ、女優としての力量がよく発揮された作品だったと思います。地味な顔立ちだけれど、演技に奥行きがあるという彼女のよさが現れた。黒木さんはふだんの行動でも、「あれ?」と驚かせることが多いのです。今回のヨコハマ映画祭でも、受賞の舞台に立ったときには、受賞作品の役柄とはうってかわって、クラシックで華やかなハリウッド女優のような雰囲気を生み出していましたね。

――― 黒木さんについては、後ほどさらにうかがいますが、岸井ゆきのさんという女優は、どのようにご覧になっていますが。

私は「コモドンの空飛ぶ書斎」の第1回目で書かせてもらった『愛がなんだ』のヒロインが、いまだに一番ではないかと思います。この点は黒木さんと共通しているのですが、岸井さんもまた、監督が何か引き出そうとする試みに対して、自分がもっているものを少しも出し惜しみをしないという姿勢を感じるのです。今回もそうした姿勢が『ケイコ目を澄ませて』で生きたことは確かでしょう。ただ、私はあの作品を買わないものですから、あの作品がここまで評価されたというのは、彼女のお手柄だったと思います。

――― なるほど。すでに多くの賞を受賞していますが、海外でも岸井さんの演技力は注目されたようですね。

今回のヨコハマ映画祭ではレセプションがありました。コロナ禍のせいで中止されていたのが復活したわけです。私は『高野豆腐店の春』で特別大賞を受賞された藤竜也さんがいらっしゃるというので、とても楽しみにしていました。藤竜也さんは、受賞の挨拶をされて帰り際に、私が何人かと座っている一角に向かって丁寧に挨拶されたので、その礼儀正しさに胸が熱くなりました。このレセプションでは、もうひとつ素晴らしい「拾い物」をしました。岸井さんを間近で見るのは初めてだったのですが、彼女の周囲への細かな心配りに驚きました。

――― 実は、私は安っぽいカメラでレセプション会場を撮っていたのですが、岸井さんはそれを見て、シャッターを切るさいに、さりげなく目線をくれるんですね。明らかに素人カメラマンだというのに、そういう人間に対しても配慮を怠らない。

普通、女優さんというのは、そこまで心配りをする必要はないのですが、彼女はほんとうによく気を遣っていました。女優さんは、どうしても公の席では守りに入るものですが、岸井さんはそういった守りをあえて捨てていると思いました。それはもしかしたら演じているのかもしれませんが、作為を感じさせないのです。ずっと緊張しているのかもしれないけれど、大局観があるのですね。私は女優さんとして尊敬できる人だなと思うと同時に、これからの活動にもますます期待がもてると思いました。

――― いま内海さんは「大局観」といわれたけれど、故・澤井信一郎監督は「みえている」という言葉を使っていました。撮影中に「この女優(俳優)はみえている」という使い方をしているのです。全体の中で自分の位置が分かっているということでしょうね。

もし澤井さんがご存命だったら、岸井ゆきのという女優さんには、たいへん興味をもったと思います。ある映画賞の選考会の席でご一緒したとき、女優賞の候補になった夏川結衣さんについてしみじみ「こういう女優さんがいてくれると助かるんだよなあ」と言っておられた。それはもちろん自分の映画に出て欲しいという意味だと思いますが、いかにも現場的で実感のこもった表現ですよね。

――― 岸井さんの出演リストをみると、非常に多くの作品に登場されているんですね。その間、アルバイトで生活していて、寿司屋で働いたこともあったそうですね。

ええ、私は『愛がなんだ』で遅まきながら注目したのですが、それ以前の『おじいちゃん、死んじゃったって。』でもヨコハマ映画祭は新人賞をさしあげています。ヨコハマ映画祭の大きな功績といえます。この作品でも、ある意味でかなり変わった演技をしていますね。彼女の場合、自分だけが得する演技をしないのです。その作品のなかで、「自分はどのように佇まいをつくればいいのか」ということを考えて、また、それが見事にできる女優さんという気がしますね。心構えにおいては、もうベテランの域に達しているんじゃないでしょうか。

――― ここからは黒木華さんと岸井ゆきのさんの「これから」についてお話をうかがいたいのですが、お二人には「一見地味だけれど、めちゃくちゃ演技がうまい」という共通点があるのではないですか。

「一見地味だけれど、めちゃくちゃ演技がうまい」というのは、まず黒木さんに当てはまる言葉だと思います。岸井さんの場合は「地味」とはいえないんじゃないですか。私は、岸井さんが発しているものは強いと思いますね。それはさっきお話したレセプション会場で顕著に表れたと思います。岸井さんには「私を見なさい!」という力がある。

――― さきほど触れられた『愛がなんだ』のなかで、同じように男女関係で悩んでいる青年が言葉をかけてくれたのに対して、「ば~か、ば~か」と罵るセリフがありますが、それがとてつもない浸透力があった。

ええ、映画のシーンでは共感してくれた男に投げつけた言葉なのに、とてつもなく大きなエネルギーをもって響いてくるんですね。あの映画の主人公が、何かバクダンのようなものを抱えているように思われてくる。

――― いっぽう、さきほどいわれた「一見地味だけど、めちゃくちゃ演技がうまい」は黒木華さんに当てはまるというのは、どういう意味でしょうか。

黒木華という女優の場合には、むかしの言い方でいえば「天分」で、自分が意識しないのにうまい演技が出てくる人なのではないかと思います。アグレッシブではないのに、状況に要求されたものが、すっと要求以上のものが出てきてしまう。普段は大人しくしていて、はっきりものは言わないタイプなのに、役柄が与えられて監督が演技について示唆を与えると、期待された以上のものが出てくる。『せかいのおきく』の公開時の舞台あいさつで、阪本順治監督に「おきゃん」を演じて欲しいと言われたそうですが、そのときは「おきゃん」の意味が分からなかったと、黒木さんはぼそぼそ告白しただけで、あとは何も言わなかったですね(笑)。

――― そこで話を広げていくことはしないわけですね(笑)。ただ、そういった、何が出てくるか分からない女優さんというのは、監督さんたちからしてみれば創作意欲を掻き立てるのじゃありませんか。

そうですね、黒木さんの場合には、ゆらりと立っているのだけれど、ちょっと仕掛けてみたら凄いものがでてくる、ということが起こるわけですからね。普段はアグレッシブに行動しないがゆえに、ずっと秘めたものが大きくなっていく、ということなのかもしれません。自分が引っ張りだすのか、他人が引っ張り出すのかは分からないけれど、ひょっとすると「降りてくる」タイプなのかもしれませんね。

――― なるほど。そこまでいうと苦情がくるかもしれないけれど、「キツネつき」みたいに、なにものかがとりつく(笑)。巫女さん的ですね。歌手や物書きにもいますが。

たとえばフランスの女優さん、シモーヌ・シニョレとかジャンヌ・モローとかは、そういうタイプの女優さんたちですよね。キツネというかどうかは知らないけれど(笑)。ともかく、降りてくるらしいですよ。自分からは積極的ではないけれど、触媒になって素晴らしい表現をするタイプの女優さんというのは、世界中にいるわけです。

――― たいへん興味深いお話をうかがってきましたが、最後に黒木さんと岸井さんについて、これからどのように活躍していくのか、予測していただきたいと思うのですが。

黒木華さんは、テレビドラマで長丁場の役を演じるとき非常に安定感があって、たとえば、『重版出来!』(TBS)というドラマでも素晴らしい演技を見せていました。黒木さんはこ れからも演じれば演じるほど、引き出しも増えてゆきますから、もう無敵じゃないですかね。彼女の場合は瞬発力ではなくて、持久力によって実力を発揮していくタイプでしょう。現場ではスロースターターかもしれませんね。私は現場に立ち会っていませんから、正確なところは分かりませんが、おそらくそうなんじゃないですか。しかし、あとで見てみると、しっかりしたものになっていて、その演技は着実にひとびとの記憶に残っていくんですね。

――― これから黒木さんはどんな役に挑戦すればいいと思いますか。

女優さんは、さまざまな役の提示をされて、そのなかから選んでいくかたちで、新しい役を演じることが多いわけです。私がこうしてくれというのは、口幅ったいし、そもそもその通りになるわけではないんですね。それでも敢えていうならば、もっと悪女になってほしい(笑)。『先生、私の隣に座っていただけませんか?』では、後半、その片鱗をみせてくれていますが、本格的に悪女を演じている作品を見てみたいですね。その資質は持っていらっしゃる。もし、『せかいのおきく』に物足りない点があるとすれば、悪女の要素がないことです。でも、あの作品は実は2人の若い男性が主人公だから、それでいいわけですよ。阪本順治監督の作品というのは、基本的に男の子の映画なのですね。

――― いっぽう、岸井さんについては、いかがでしょうか。

岸井さんは、実は、主役でないものを含めれば、きわめて多くの作品に出ているわけです。それは多くの経験を通じて、たくさんの「引き出し」を持っているといえる。朝日新聞のインタビューで読んだのですが「なんでも楽しめるタイプ」とおっしゃっています。このインタビュー記事全体でも感じたのは、肩の力が抜けているということです。人によっては多くの経験を積んだことで、かえって肩に力が入ってしまうこともある。しかし、彼女の場合はかなりフレキシブルで、どんな役でもやるし、どんな役もやりたいわけでしょう。意気ごみとサービス精神をしっかりとお持ちです。そして、そのための演出もしっかりと自分でやっていると思われます。

――― サッカーなどでも、すぐれた選手は監督とは別のレベルで、プレーをしながらチームをリードしているといわれますね。

岸井さんがテレビで、ある群像劇に出演していたのですが、他の出演者の邪魔をしないようにしながら、彼女が仕切っているように見えるんです。ときには盛り上げたり、ときにはなごませていたりして、その群像劇を成り立たせている。もし、彼女がいないと群像劇自体がさびしくなるだろうなと思いました。澤井監督が言った「みえている」女優なのでしょう。状況の変化に合わせて、いまはここにいよう、つぎはここに移ろうということが、すっすっとできてしまう人で、彼女がいないとドラマ自体が厳しいだろうなと思いましたね。他の出演者の邪魔をすることなく、その場を持たせていくというのが、主演女優の鑑ですよね。今回の『ケイコ目を澄ませて』は彼女がいたから、多くの高い評価を得たのだと思うし、これから多くの監督が彼女に出てもらいたいと思うでしょうね。

――― 海外での作品評には、主演の岸井さんの演技には圧倒的熱量があるという評価があったようですが、その温度が他の出演者に伝わっていたわけですね。

そうですね。ただし、熱量が多いというと、彼女は熱演をして他の出演者を巻き込んだように解されるかもしれませんが、そうではなくて、肩の力を抜いて強制的にではなく自然に出演者たちと演じていたということですね。熱演していると評した人もいたようですが、それは岸井さんの場合には、ただ熱いというのとは違うんですね。それくらい、岸井さんにはキャパシティを感じますね。

――― お話をうかがっていて改めて思ったのは、どんどん成長していく女優さんを見守っていくというのは、非常にスリリングなことなのだということです。

さきほどの新聞インタビューの「何でも楽しめるタイプ」という言葉で、思い出したのは吉行和子さんのことです。吉行さんも「なんだか面白そう」と思ったことを「楽しむ」タイプの女優さんで、90歳近い今にいたるまで楽しみ続けておられます。大女優さんの若いころの演技やその成長を、私たちはリアルタイムで見ることはできないわけですが、今回のヨコハマ映画祭では2人の素晴らしい女優さんが、どのように演じてきてここにいるのかを垣間見ることができました。その意味では、第45回ヨコハマ映画祭は実に豪華なフェスティバルだったということができると思います。

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内海陽子プロフィール

1950年、東京都台東区生まれ。都立白鷗高校卒業後、三菱石油、百貨店松屋で事務職に従事。休みの日はほぼすべて映画鑑賞に費やす年月を経て、映画雑誌「キネマ旬報」に声をかけられ、1977年、「ニッポン個性派時代」というインタビューページのライターのひとりとしてスタート。この連載は同誌の読者賞を受賞し、「シネマ個性派ランド」(共著)として刊行された。1978年ころから、映画評論家として仕事を始めて現在に至る。(著者の近著はこちら

 

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