新型コロナの第3波に備える(11)封じ込めたはずだった中国の感染拡大

中国では各地で新型コロナの第2波が始まっているようだ。ロイター電子版1月12日付の「新型コロナの脅威のなか、次々と中国都市がロックダウンへ」という記事は、まだ規模は大きくないものの、群発的な感染の兆候をリポートしている。

「今週火曜日、中国当局は北京の周辺に新しい対コロナ規制を導入した。すでにコロナを封じ込めたと言われたこの国でも、新規の感染者の増加が第2波の兆しを見せており、あらたに490万人の住民がロックダウン下に入ったとみられる」

中国衛生当局の発表によると、火曜日の新感染者数は55人で、前日の103人からは低下したというのだが、北京に隣接する河北省は同省人だけでも40人を数え、さらに黒竜江省からの1人、近隣の都市からの1人で42人に上る。

前述の490万人のロックダウンに入った河北省廊坊市の住民は、7日間の隔離措置のもとで集団コロナ検査を受けることになる。また、北京に隣接する冠県と三河市でも、すでに自宅隔離の措置がとられ、冠県では1人の感染があきらかとなったが、三河市ではまだ発覚していないらしい。

河北省の省都である石家荘市では、この間の最大の感染が見られ、すでに1100万人がロックダウン下に置かれている。同市の藁城区では12の村落から住民2万人以上が集められ、集団隔離されつつあると、中国ニュース・サービスは報じている。

この様子は、日本のTBS NEWS「コロナ急増の中国・河北省で2万人集団隔離 感染再拡大への懸念高まる」でも、バスを連ねて移動する様子が報道された。ロイターの記事には、王という苗字の自警団メンバーが登場して、「政府の処置は8日から厳しくなりました。近くの冠県で今日感染者がでたので、私たちも気をつけなくてはと思っています」と発言している。

他の地域でも感染が発覚している。黒竜江省の望奎県では36人の新規感染があって、同地は月曜日にはロックダウンに入ったという。中国当局は感染とは認めないケースもあるようだが、ロイターが報じているその他の感染例としては、黒竜江省の宜春市で1人、斉斉哈爾市で7人が報告され、また、吉林省の長春市で7人が症状を示し、そのうち4人は望奎県からの旅行者だという。

これまで中国で新型コロナの感染者が発生するさいは、あくまで1つか2つくらいの地域でのものだった。しかし、この第2波は、どうやらこれまでのような、局地的なものというわけにはいかないようだ。数億人の移動移動が始まる2月11日を前にして、中国当局だけでなく世界中の目が、「コロナを封じ込めた」はずのこの国に注がれている。(続報があれば、追加するつもりです)

【続報による追加】続報というより、他のメディアでも報道がすでになされていたので、追加しておきたい。13日午前11時ころにはツイッターにウォールストリート紙日本語版の「中国、コロナ感染拡大で再びロックダウン」が流れた。(写真下は同紙)このツイートの元になった英文の記事は、長い取材レポートが続くのだが、第1報は12日9時39分とあるので、すでに報じられたものである。ただし、ロイターとの違いが多少ある。その点をいくつか注記しておきたい。まず、出だしの部分から。

「中国はこれから数カ月の間、最大のコロナ爆発と戦うことになるだろう。急激に感染が広がった地域にはロックダウンを行い、おそらく2000万人以上を隔離して、さらに春節がある2月が近付けば不要不急の移動は中止することを求めると思われる」

ウォールストリート紙日本版は「中国の国家衛生健康委員会は12日、国内で42人の新規・発症が確認されたと発表した。前日には1日当たりでは6カ月ぶりの高水準となる85人の感染を記録していた」とある。英語版ではこのあとに「この感染者数のほとんどは、首都北京に隣接する北部の河北省で調査されたもの」と続いている点は注意がいるかもしれない。

というのは、ロイターでは「国家衛生健康委員会は火曜日に55人の新規感染者を発表したが、これは前日の103人からみれば低下している」とあり、しかも、「北京に隣接する河北省では、地域における感染の42人のうち40人をカウントしている」と続くからである。もちろん、いちおう同じ出所が示されているものの、この数値の違いが生まれたのは、それぞれの記者が情報を得たソースが違うからだと思われる。

また、たいした問題ではないが、ウォールストリート日本版では「感染拡大が目立つのは河北省で、廊坊市は12日、住民500万人を7日間の自宅隔離対象にするとともに、市全域でコロナ検査の実施に動いた」とあるのに、ロイターでは自宅隔離の対象となった人数は490万人である。さらに、これは注目すべきだと思われるが、ウォールストリートには、石家荘市の自宅隔離対象となった人数が記載されず、藁城区の2万人にのぼる集団隔離のためのバスによる移送について記述されていない。

こうした数値や取材範囲の違いは措くとして、やはり、いま中国のコロナ報道で大きな影響を与えそうなのは、中国製のコロナ・ワクチンの効果が低いのではないかという疑惑である。すでに昨年12月にペルーでの治験が中止となって話題になったが、ウォールストリート紙日本版1月13日付は「中国のコロナワクチン、有効性の信頼度に疑問 数値大幅引き下げ」を掲載している(写真同紙)。

「ブラジルの研究チームは12日、中国バイオ医薬品会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発する新型コロナウイルス予防ワクチンを巡り、後期臨床試験(治験)で示された有効性が50.38%だったと発表した。従来の発表からは30ポイント近く低い数値となった」

もちろん、50%の有効性であっても、これまでのワクチン一般が同程度の有効性だったことを考えれば、接種の仕方によって十分に使えるだろう。とはいえ、30ポイント(%)の下落というのは大きいので、中国製ワクチンへの一般的な評価を下落させる可能性がある。この件については、もう少し詳しい情報が公開されてから、改めてお伝えしたい。

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