仮想通貨の黄昏(8)FTXのバンクマンフリードがビットコインに未来はないと発言!

世界で最大級の仮想通貨交換所FTXの創業者でCEOのサム・バンクマンフリードが、ビットコインには決済ネットワークとしての未来はないと発言して話題になっている。もちろん、仮想通貨そのものが終わりだと言っているわけではないが、仮想通貨暴落を経験した関係者たちの本音ともいえる発言である。

この発言が掲載されたのは、英紙フィナンシャルタイムズ5月16日掲載のインタビュー「仮想通貨成金サム・バンクマンフリードが語る;おれはブロックチェーンが何なのか分からないまま、この世界に飛び込んだ」と、その解説記事「ビットコインには決済ネットワークとしての未来はないと、FTXのトップが発言」で、あまりに当然のことなので、内容自体に驚く必要もないほどだ。しかし、仮想通貨ビジネスのトップクラスの発言としては、正直というよりは「何をたくらんでいるんだ」という関心を持つべきだろう。

内容としては、「ビットコインは決算ネットとしては未来がない。というものも、とっても非効率的だし、環境に悪いからね」というのが、そのすべてといってよい。「でも、資産としてなら、たとえば金みたいなコモディティとしてなら、価値の蓄積の役は果たすだろう」というのは、オマケみたいなコメントである。

バンクマンフリードによれば、ビットコインがだめな理由は、いわゆるPOW(プルーフ・オブ・ワーク)の仕組みで出来ていて、いわゆるマイニングといわれるパズル解きみたいなプロセスでビットコインを獲得する。しかし、これをやるには巨大なコンピュータや壮大なネットワークを駆使する必要があるので、電力がバカのようにかかる。もう、いまや中くらいの国家よりも電力がかかっているといわれるほどだ。

では、どうすればいいのかといえば、ビットコインはPOWをやめてほかのシステムを考えなくてはならない。たとえば、他の有力コインがそうであるようにPOS(プルーフ・オブ・ステーク)ならば、法定通貨と引き換えに仮想通貨を手に入れる仕組みになっている。これならば、煩雑な仕組みはいらなくなるし、また、膨大な電力の消費はしなくてよいわけである。「そうすれば、毎秒ごとの取引も効率的に軽快に、低いエネルギーですむ」。

しかし、そもそもビットコインが登場してから仮想通貨というものが、本当に決算のために使われてきたのかといえば、それはまったく違っていたというしかない。通貨の三機能といわれる、決算、価値の蓄積、価値の基準という機能を、このビットコインはまったく果たせなかったからだ。たとえば、いまや酔狂な政治指導者が登場したエルサルバドルや中央アフリカといった国では、ビットコインを法定通貨と認めている。しかし、たとえばエルサルバドルでは、ビットコイン用のATMがあるというのに、ほとんど決済に使われていないのである。

もちろん、投機対象となって激しい価値の上下を繰り返しているので、価値の蓄積や価値の基準といった機能も果たせるわけがない。昨年は5万BCTまで上昇していたのに、最近は2万6000BCTまで下落して世界中を慌てさせたばかりだ。もうそろそろ、根本的に仮想通貨そのものについて考え直す時期ではないのか。たとえば、いまある仮想通貨が「将来的には法定通貨になる」というのは嘘であり、また、法定通貨にブロックチェーンの技術が使われたとしても、それは管理機能が強化された中央集権的な電子通貨になるだけのことである(中国で検討中のデジタル人民元を見れば分かる)。

バンクマンフリードの発言が世界に流れると、多くの人たちがコメントしたが、なかにはモノゴトが分かっている方もいて、POSにすると単に中央集権的あるいは少数集中型な通貨になってしまうと指摘していた。ビットコインが草創されたのは、分散的で中心のない通貨というのが夢だったではないかというわけである。

しかし、これにしてもビットコインの歴史を見れば明らかなように、ビットコインの所有分散データを見れば(左は今回の暴落前のデータ)、残念ながら極端に中央集権的で少数集中型なのである。したがって、バンクマンフリードが言っていることは、何のことはない、ぐちゃぐちゃ言わずに、おれの交換所がやりやすい仕組みにしてくれれば、これからも仮想通貨で夢だけはたっぷり見てもらえるぜ、と言っているだけのことなのである。

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