新刊紹介1 内海陽子『女優の肖像 その1』

日本の女優72名の魅力と逸話を、一挙に語りつくす画期的な女優論。雑誌に12年にわたって連載した、写真家・秋山庄太郎の表紙写真によせて女優を語る人気コラム「女優の肖像」を、再編・加筆した作品集の第一弾。
「端正で正統的な演技術から奔放に遠ざかり、独特のせりふ回しや、わざと顔や姿勢をくずす露悪的な演技方法で一世を風靡した桃井かおり。1970年代初頭から、彼女はさっそうたる時代の子であった」(「桃井かおり」より)
「キャリアを重ねていっそう風情を増し、若い男たちを惹きつけ、その真心をくすぐらずにはおかない女。未来は謎に包まれていることを肌で知っているからこそ、恋にためらう女。そういう女たちの心情を、いま、梶芽衣子こそが表現できるはずである」(「梶芽衣子」より)

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第1章 魅惑する魔界の女たち 桃井かおり/酒井和歌子/梶芽衣子/浅野温子/樋口可南子/田中裕子/松坂慶子/沢口靖子/万田久子/名取裕子/和泉雅子/荻野目慶子/池上季実子

第2章 なんてたってアイドル 小泉今日子/岡田奈々/紺野美沙子/栗田ひろみ/富田靖子/森下愛子/菊池桃子/大場久美子/榊原るみ/吉沢京子/水沢アキ/早乙女愛/烏丸せつこ/工藤夕貴/宮崎美子

第3章 宴のあとの残り香 香山美子/大谷直子/原田美枝子/江波杏子/佳那晃子/朝香真由美/石田えり/岸本加世子/岡江久美子/夏樹陽子/かたせ梨乃

第4章 顔が語り始める 安田成美/麻生祐未/藤真利子/真野響子/かとうかず子/田中美佐子/高樹澪/有森也実/新藤恵美/星野知子/中野良子/白都真理/中田喜子/前田美波里

第5章 歌手たちの妙変 小川知子/いしだあゆみ/梓みちよ/あべ静江/浅田美代子/伊藤蘭/田中好子/麻丘めぐみ

第6章 見果てぬ夢のさき 朝丘雪路/林美智子/樫山文枝/扇千景/奈良岡朋子/草笛光子/香川京子/中村玉緒/加藤治子/三林京子/小山明子

新刊紹介2 内海陽子『女優の肖像 その2』

ある有名なシナリオ作家が筆者に「あなたは本当に映画が好きなんですね。だからあなたの書くものは信用できる」と述べたという。読者もまた映画という夢の世界のなかで、女優とともに「女の一生」を生きることになる。
「インタビューしてみておもしろい女優はかなり稀だ。室井滋は『バカヤロー! 私、怒ってます 第四話』(1988・堤幸彦監督)で小林薫の妻を可愛く演じようとしたら、監督から「室井さん、女捨ててね」と穴あき靴下を渡されたそうだ。二十代だから腐るのも当然。その話しぶりが可愛く、彼女の芸を独占しているような気になった」(「室井滋」より)
「1970年代のある日、わたしは地上へあがる階段で吉行和子とすれ違った。さっぱりした白いシャツとスラックス姿の彼女は、そそくさと地下へ消えていき、わたしは映画少女のようなその細身を見送りながらぼ~っとなった」(「吉行和子」より)

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第1章 異世界の翻弄者 室井 滋/南 果歩/樋口可南子/高島礼子/ともさかりえ/倍賞千恵子/浅野温子/三田寛子/夏川結衣/山口智子/浅野ゆう子

第2章 ひとを惑乱する技 紺野美沙子/麻生祐未/藤田朋子/鶴田真由/いしのようこ/秋野暢子/萬田久子/森口博子/清水美沙

第3章 装いと姿形の内側 中井貴恵/東ちづる/いとうまい子/志穂美悦子/戝前直見/佐藤友美/高岡早紀/野川由美子/若林麻由美/細川直美/桜井淳子/未唯mie/戸田菜穂/賀来千香子

第4章 ヒロインを生きる 松田美由紀/中村晃子/松雪泰子/沢田亜矢子/二宮さよ子/浅茅陽子/壇 ふみ/菊川 玲/永作博美/西村知美/沢口靖子/中嶋朋子/柏木由紀子

第5章 成熟する少女たち 石田ひかり/牧瀬里穂/杉田かおる/斉藤慶子/伊藤つかさ/岩崎宏美/松本伊代/内田有紀/佐藤江梨子/今 陽子/南野陽子/伊藤かずえ/早見 優/藤谷美紀/渡辺典子/古村比呂

第6章 永遠に幕は下りず 朝丘雪路/雪村いづみ/月丘夢路/森 光子/吉行和子/野際陽子/原 節子

内海陽子プロフィール

1950年、東京都台東区生まれ。都立白鷗高校卒業後、三菱石油、百貨店松屋で事務職に従事。休みの日はほぼすべて映画鑑賞に費やす年月を経て、映画雑誌「キネマ旬報」に声をかけられ、1977年、「ニッポン個性派時代」というインタビューページのライターのひとりとしてスタート。この連載は同誌の読者賞を受賞し、「シネマ個性派ランド」(共著)として刊行された。1978年ころから、映画評論家として仕事を始めて現在に至る。(著者の新刊が出ました
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